わたしの好きなまちの〇〇

わたしの好きなまちの〇〇 2022.10.24

Galleryそら presents

作家さんの目線で鳥取のまちで見つけた『好き』を、作品でご案内

私は「鳥取のまち」が大好きです。

私が思う処の鳥取のまちとは鳥取市中心市街地のことで正確なエリアや場所も曖昧なのですが、まちをウロウロと探索することは今やライフワークとなっています。

　このまちをウロウロと探索し楽しむ密かな趣味は数十年前の女子高生時代まで遡ります。

　友達がテレビを賑わすアイドルに憧れ、最先端のDCブランドに羨望の眼差しを向けていた頃、きゃぴきゃぴと話を合わせつつも私は独り、まちの路地裏や古い建造物が残るエリアを探索し続けていました。木枠の窓にはめられた楓模様の磨りガラスや10円を投入して動くポップな象の遊具などに心躍り、古い商店の木壁に貼られた蚊取り線香のブリキ看板を見つけ感動し、妖艶な由美かおるさんに思わず手を振ってしまったほどです。

最先端のモノ・コト・ヒトに憧れる友達と、時を逆行したレトロな様相に心躍らす私とでは話が合わないと思われるかもしれませんが、意外に共感できることも多かったのです。

そこには、お互い全く違うモノにトキメキながらも、「かわいい！」と笑顔になれる共通の揺るぎないキーワードがあったからだと思っています。

　時と歳を重ね、私はミニチュアやデジタルアートを創作するアーティストとなり、鳥取民藝や因幡麒麟獅子などの深い文化を持つモノ・コト、それを伝承するヒトとの出会いでまちを見る視点が少しずつ変わって来ました。

▲極小サイズで作られたミニチュア作品 1

古いモノが撤去されて新しく便利なモノに取り替わることが寂しいと思っていたけれど、その取り替わった新しいまちの風景にも「かわいい！」が存在するのです。

　先人の想いを受け継ぐ歴史や文化は、残していくモノでは無く、今に取り入れていくモノなのではないか･･･ふと、そんなコトを思っています。

そして私の、まちの「かわいい！」を探索するライフワークはまだまだ続きます。

これからも、ずっと！

文・イラスト岩田恵美子

▲極小サイズで作られたミニチュア作品 2

マルチなアーティスト、岩田恵美子さん。ギャラリーショップでは、彼女の制作したミニチュアサイズのかわいい和菓子やケーキがのった鳥取民藝のお皿が、ブローチやネクタイピンとなって、店頭に並んでいます。ぜひ実物のミニチュア作品を手に取ってご覧ください。近年は従来の技法をデジタル化した「Neo浮世絵」で鳥取の街を描くシリーズに取り組んでいます。鳥取への文化愛が詰まった作品づくりが彼女の持ち味です。